皆さんこんにちは。『ギャンブル依存症』―どういうものかご存知ですか?
ちょっと重たいテーマで申し訳ないですが‥ギャンブル依存症なんて私には関係ないと思っている人も多いかと思います。最近、カジノ法案が可決されましたよね。
このカジノ法案はギャンブル依存症に対しての対策もされていると言われているため、ニュース等で耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
ギャンブル依存症について、特徴や症状など・そして原因を知って対策、治療方法などをできるように色々な角度から解説していきます。
重たいテーマで且つ長文になってしまいますが、アイスコーヒーでも飲みながらゆっくりと読んで下さればと思います。それではまず、ギャンブル依存症とは何か?について見ていきましょう。
自分がギャンブル依存症かもと思う人は、ギャンブル依存症の自己チェックリストを見てみましょう。
ギャンブル依存症とは?
一言でギャンブル依存症といっても、朝日新聞掲載キーワード・百科事典マイペディア・日本大百科全書(ニッポニカ)で解説されている内容というか文面が若干異なるので、ここで3つとも一部を抜粋しまとめてみました。
もちろん同じ内容ではあるのですが、文章が違うだけでこうも違うのかーと、読むだけで面白いですよ。
朝日新聞掲載キーワード
パチンコや競馬・競艇などで借金を重ね、多重債務(借金のことですね)・家庭崩壊や犯罪・自殺などにも繋がることがあることから、1980年にアメリカで「精神疾患」として認定された。<出典:朝日新聞掲載の「キーワード」>
百科事典マイペディア
現実からの逃避や一攫千金狙い・自我を求める欲求をギャンブルで満たそうとする病気のこと。
病気ということで、WHO(世界保健機関)が1977年に依存症の一つとして認定した。よく聞く、アルコール依存症や薬物依存症などの“依存症”と同じであるが外見では判断できない。
そのため、莫大な借金を抱えて家庭崩壊などの手遅れになるケースが多い。病的ギャンブル・ギャンブル中毒・ギャンブルホリックとも呼ばれる。
引用元:コトバンク | 百科事典マイペディア「ギャンブル依存症」の解説
日本大百科全書(ニッポニカ)
ギャンブルをしたいという強迫的な衝動から逃れられず、繰り返すうちに習慣化してしまいそればかり考えてしまう依存症の一つ。
ハマればハマるほど賭ける金額も徐々に増えて損失を被っても止めることができず、損失を取り戻そうとしてさらにのめり込むという悪循環に陥る。
その結果、生活に支障をきたし社会生活にも適応できなくなり破綻をきたす。病的ギャンブリングとも呼ばれる。
引用元:コトバンク | 日本大百科全書(ニッポニカ)「ギャンブル依存症」の解説
依存症と付くくらいなので、やはり病気として認定されていることが分かりますね。ギャンブルをしなければ自分が保てない状態だと考えてもらえたら良いと思います。
ちなみにですが、デジタル大辞典では、このギャンブル依存症のことを“病的賭博”と一言で解説していました。
カジノ法案でもギャンブル依存症対策について色々と議論されていましたね。
ギャンブル依存症には典型的な症状アリ!

百科事典マイペディアで、ギャンブル依存症はアルコールや薬物の依存症と同じ依存症ではあるものの「外見では判断できない」と説明されています。
まさにこの通りで、え!あんな人が?という人が実はギャンブル依存症だったりする可能性も大いにあるわけです。
もしかしたら自分の周りにいる身近な人も、ギャンブルから逃れられず苦しんでいる人がいるかも?しれません。あまりそうは思いたくないですけれど。
必ずしも以下で記載しているものに当てはまっているわけではありませんが、典型的とも言われるギャンブル依存症の症状があるので紹介します。
不満を、お金で解決しようとする
先ほど、隙間を埋めるために「ちょっとパチンコをやってみよう」そのきっかけからハマってしまうーと言いました。
この「ちょっとパチンコをやってみよう」というのは、依存する気などはその時は全く無く、”興味本位”で始めるパターンです。
ちょっとだけ遊んでお金を手に入れよう→欲しかった物を買おう‥など、自分が感じている不満(ストレス)を一時的にでもお金で解決しようとする人も、そのままのめり込んでしまいがちです。勝った時の快感が忘れられなくなるからです。
生活の中心がギャンブル
今日仕事が早めに終わるからギャンブルしよう・給料日だからギャンブルしよう・最近忙しかったから気晴らしにギャンブルに行こう‥このように、ギャンブル依存症の人は仕事をしていても家で休んでいても、頭の中は常に“ギャンブル”のことでいっぱいです。
ギャンブルに行かないと自分が保てない状態になり、もはやギャンブルに支配されていると言っても過言ではありません。ここまでくれば、先ほど解説したように仕事にも支障をきたし生活に影響が出てしまうでしょう。
借金をしてまでギャンブル
ギャンブル自体あまり勧めたいものではありませんが、自分のお小遣いの範囲内と言いますか「決めた金額内」で楽しむには別に悪いことではありません。誰にも迷惑はかけていないですからね。
しかし、ギャンブル依存症の人は自分の収入や使える金額以上に使いこんでしまい→将来のために貯金していた分までも手を出してしまいます。
あげくにはそれでも足りなくなり借金までしてしまう人も居るのです。現にパチンコ屋等の近くには大体キャッシングできるお店があり、セットになっています。キャッシングのお店側もそこを逆手にとって商売しているというわけ。
それにまんまとハマってしまうのがギャンブル依存症の人です。すぐに借りれますからね。
負けてもギャンブルで取り返そうとする
これも借金してまでギャンブルに少し当てはまっている部分もあるのですが、借金したとしてもそれをまた“ギャンブルで取り返す!”と息巻いている人も典型的な特徴ですね。
ギャンブルの負けはギャンブルで取り返すー依存症ではない私たちは、いやギャンブルで負けたからお金が無いのに⇒ギャンブルで取り返せるわけがないと思いますよね。
しかし、依存症の人たちは「今は負けているけど、もう少し続けたらプラスになる!」と息巻いて更にギャンブルにのめり込む‥まさに悪循環です。
一度でも大勝ちしたことがある
ギャンブルで、毎回ではないにせよ一度でも大勝ちしたことがある人も依存しやすい傾向があると言えるでしょう。
これは勝ったことでアドレナリンが分泌し快感を覚えます。勝ったことでこの快感が身体に染みついてしまい→さらにギャンブルをしたくなります。
上記の、もう少し続けたら~もそのパターンです。あともうちょっとやれば勝てるはず!と思ってしまうんですよね。勝ち続けてお金が増え続けるギャンブルなどはどこにも存在しません。
すぐ行ける場所にギャンブルしやすい環境がある
ギャンブルと言っても、パチンコやスロットの他にも競艇や競馬など様々です。
特に依存しやすいものとして問題視されているパチンコやスロット。これらが仕事帰りに立ち寄れる場所や、家の近くにあると‥必然的に目に入りますし、行きやすい環境が整ってしまいます。
今の時代、どこででもあるので避けることは中々難しいですが‥家の近くにある人は、思い切ってそういう娯楽的施設がない環境に引っ越すのも一つの手です。
嘘をついてまでギャンブルに行く
ギャンブル依存症の人は、ギャンブルに行くということを言わずに嘘をついて“隠して”行く人が多いです。
嘘をつく相手は家族や恋人。心配かけたくないのもあれば、どこかで借金しているのではないか?いうことがバレる危険性、そして自分ではあまり「嘘をついている」という自覚がないというのも大きな点ですね。
依存症とは認めない
最後に、一番の特徴と言っても良いでしょう。
ギャンブル依存症の人は自分がこれを病気だと思っていません。風邪をひいた・骨折した‥などの時は皆、病気だと自覚しますよね。
しかしギャンブル依存症の人は、自分が依存しているなんて微塵も思っていません。だから病気と言われるんですが‥当本人は気付かないんですよね。
ギャンブル依存症になりやすい人の特徴

ギャンブル依存症の症状が分かったところで、ギャンブル依存症になりやすい人の特徴も合わせて見ていきましょう。皆、誰しも好んでギャンブル依存症になっているわけではないですからね。
必ずしもギャンブル依存症になりうる起因要素ではないですが、なりやすい人には特徴がいくつかあります。
負けず嫌い・感情で考える人
パチンコなどに限らず、ゲームセンターでの対戦ゲームやトランプなどなど‥負けず嫌いの人は危険ですね。勝つまでやらないと気が済まない人は、一歩間違えるとギャンブル依存症になりかねません。
また、今日は調子が良いから勝てそう!とか、初めてやるからビギナーズラックで大勝ちするかも?!なんて淡い期待・根拠のない自信を持ち感情で考える人も危ないでしょう。
タバコなど他に依存しているものがある
タバコを止めるのも大変とよく聞きますが、タバコやアルコールなど他に依存しているものがある人はギャンブル依存症になりやすいと言われています。
パチンコやスロットをやる人の約5割から7割の人は喫煙者というデータもあるほど。
今は禁煙ホールなども増えていますが、ほとんどが喫煙者でタバコを吸いながらパチンコ・スロットをしていて→ギャンブル依存症×ニコチン(タバコ)依存症は、切っても切り離せないほど非常に密な関係性があると言われています。
ストレスが多く、打ち込めるものがない
誰しもストレスは抱えて生きています。ストレスが無い人なんて居ないですよね。
買い物や美味しいお店巡り・友達と遊ぶなどなど‥こういった趣味がある人はストレスが多くても発散できるわけです。
しかし、ギャンブル依存症は趣味ー打ち込めるものがないために、心に隙間ができてしまいます。その隙間を埋めるために、「ちょっとやってみよう」この一瞬のきっかけからハマってしまう人も少なくないのです。
ケチな人
意外かもしれませんが、ケチな人もギャンブル依存症になりやすいんですよ。
特徴のところで記載していますが、負けてもまたギャンブルをすることで取り戻す→勝つ前提で考えていて、勝ったお金で負けを取り戻そうとしているわけですから「身銭は切らない」という感覚なんです。
普通の状態だと何と馬鹿げた考えかと思いますが、本人たちは気付いていないんですよね‥
ギャンブル依存症の原因とは?
ギャンブル依存症の典型的な症状は以上の7つ・そして、なりやすい人の特徴は4つあることが分かりましたね。
では、このギャンブル依存症に陥ってしまう原因はどこにあるのでしょうか?色々調べていくと分かったのですが・・
関係ないと思っていても「少なからずギャンブルをやる人は、誰しも可能性がある」ということです。
あくまでも可能性なので、ギャンブラーが全員依存症になると言っているわけではないので誤解しないで下さいね。依存しないためには、原因をきちんと知ることが大切です。
すぐ行ける場所にギャンブルできる環境がある
ギャンブルと言っても、パチンコやスロットの他にも競艇や競馬など様々です。これらの場所はあくまでも“遊技”として存在しているだけなので、ギャンブルではありません。
しかし、特に依存しやすいものとして問題視されているパチンコやスロット。
一度やればハマる(のめり込みやすい)ゆえに中毒性はそれはもう‥高いものなのでギャンブル依存症になりやすいと言われているわけです。自分を律することができる人は依存症にはならないでしょうけども、全員がそうではありません。
現実逃避のために行くのがもう日常となっている人は危険ですね。
特にパチンコやスロットのお店は、街じゅうのいたるところに存在します。年中無休で営業されています。常に仕事帰りに立ち寄れる場所や、家の近くにあると‥必然的に目に入りますし、行きやすい環境が既に整ってしまっている状態です。
こうなると依存症になってしまえば、自分でどうにかすることはできません。
今の時代、どこででもあるので避けることは中々難しいですが‥家の近くにある人は、思い切ってそういう娯楽的施設がない環境に引っ越すのも一つの手でしょう。
居心地が良い空間になっている
昔と違って今は、パチンコ・スロットのお店は進化?したのか、非常に快適な居心地が良い空間になっているようですね。空調はもちろんバッチリなので、暑い日も寒い日も関係なく快適に過ごせます。
喫煙フロアと禁煙フロアで分かれているので、喫煙しない人でも行きやすくなっている模様。また、飲食などもできる休憩スペースも備わっているとか!
ここまでくると、もうここでゆっくり過ごして下さいと言われているようなものですね。
そのパチンコ屋で何も不自由なく一日中過ごせるため、長時間いても苦にならない環境が作られてしまっているのです。
お店側も来てもらわなければ儲けが出ないので仕方がないですが、こういった環境が依存症になる可能性を増やしているんだなと懸念しています。
ギャンブル好きの親の下で育った
同じ環境といっても、これは自分の親がギャンブル好きでその環境下で育った人の場合です。
これも自分ではどうしようもできない状態なわけですが、ギャンブルが好きで常に行っているような親だと、このギャンブルが=悪いものであるという感覚は無くなります。
つまりギャンブルをする日常に抵抗がなくなるわけです。
「ギャンブルにハマるゆえに全然遊んでくれなかったから自分は絶対に同じようにはならない!」と反面教師にしている人ももちろんいます(私の友人にもいます)。
ですが、ギャンブル依存症の人のうちの何割かは親もギャンブル好き・もしくはギャンブル依存症だったというのは少なからずあります。一概には言えませんが‥多少なりとも影響はあるといっても過言ではありません。
親からの愛情不足も
ギャンブルにハマって子供の事は後回し‥という親も、悲しいかな存在しています。
暑い中車に子供を放置しパチンコで遊んでいる親が逮捕される、なんとも腹立たしい事件も起こっていますよね。
仮に依存症では無かったとしても子供への愛情が不足していれば、その子供は自分の存在価値が分からなくなります。どこかに依存しなければ自分が保てない状態にまでなってしまうのです。
幼少期に親からの愛情がきちんと注がれていない人は、統計的に見ても何らかの依存症に陥りやすいと言われています。その中の依存症に、ギャンブル依存症があるのです。
刺激がヤミツキになり抜け出せなくなる
一度でも大勝ちしたことがある、でも記載していますが「勝てばドーパミンが分泌」されて快感を覚えます。大勝ちしなくとも、ギャンブルでお金を賭けて勝つだけでその刺激は脳が覚えます。
後述しますが、脳がもうその刺激を覚えてしまうと、もう一度味わいたい!と“欲してしまい”ギャンブルから抜け出せなくなるんです。
もっと恐ろしいのが、刺激は前回味わったものから上書きされて脳内に焼き付きます。
つまり、さらに勝ちに執着するようになりリスクが高いギャンブルをするようになってしまいます。こうなるともう手が付けられません。
お金を失うことが怖い→執着してしまう
人は、お金を得ることよりも失うことの方が恐れが大きくなります。
負けていてもそのままプレイしてギャンブルで取り戻そうと考える人は、これに支配されているのです。ギャンブルをする最初の目的は⇒勝ってお金を儲ける、です。しかし負けが続いてどんどんお金が減ると‥逆に怖くなり、その怖さを埋めようとさらにつぎ込みます。
こうなると、負けた分を取り戻すことに集中して執着していますよね。お金を取り戻そうとしているはずが、自らお金を失って首を絞めているー執着の恐ろしい部分です。
(ちょっとブレイク)ギャンブル依存症、自己チェックをしてみよう!
ギャンブルはたまにしかしないけどギャンブル依存症に当てはまるのかな?ガッツリやっているけど絶対に依存症ではない!と思っている人‥様々だと思います。
なりやすい人の特徴と少しダブりますが、ここでチェックしてみましょう。
依存症は気付かないまま進行していることも多い病気です。
診断項目は9項目あるので、当てはまる項目にチェックを付けて下さい。いくつチェックが付いたかで重症度が分かります。
良く用いられているのが、アメリカの精神医学会が発表している判断基準なのですが、これを分かりやすくまとめてみました。それが以下のチェックリストです。
チェックリスト
①ギャンブルが頭から離れることはない
②止めようと努力したが無理だった
③嫌なことがあるたびに行ってしまう
④賭け金がどんどん増える
⑤損した分をまたギャンブルで取り戻そうとする
⑥ギャンブルに行くために嘘をつく
⑦仕事や学校をサポって行くようになった
⑧賭け金を確保するために借金
⑨ギャンブルのために他人にお金を借りる(キャッシングも同様)
・4~5つ➡軽度
・6~7つ➡中度
・8~9つ➡重度。
チェックの数でこのように分類されていますが、皆さんいくつチェックが付きましたか?
1つしか付かなくても危険?!
仮に1つしかチェックが付かなかったとしましょう。だからといって、ギャンブル依存症の可能性は無いとは決して言い切れません。
なぜなら、ギャンブルにつぎ込むお金を確保するために違法行為をし逮捕される人もいるからです。
この項目に当てはまらなくても、ギャンブルという恐ろし魔物に取りつかれていたら正しい判断ができずに犯罪に走ってしまうこともあり得ます。
あくまでも簡易的なものなので、ギャンブル依存症の程度がどのくらいなのか?という判断の目安として参考程度に考えて下さいね。
ギャンブル依存症は、脳に変化が起こる!
ギャンブル依存症は、よく本人の意思が弱いなどという性格・素質の問題として片付けられてしまうことが多いのも現状です。
しかし、れっきとした病気であり精神疾患の一つとして認識されるようになっています。2つ前の章で、大勝ちしなくともギャンブルでお金を賭けて勝てばその刺激を脳が覚えると話しましたね。
ギャンブル依存症になると、依存症ではない健常者と比べて脳の一部に変化が起こることが発見されました。
ギャンブルにしか反応しない脳に変わっていってしまうという恐ろしいもので、自分では本当に「やめることができない」状態です。
この章では、脳とギャンブル依存症の関係を”医学の面から”、できるだけ難しい言葉は使わず、分かりやすく説明してきますね。
ドーパミンって何?
脳の一部に変化が起こるーその変化として考えられているのが、ドーパミンの存在です。聞いたことがありますか?おそらく学校の授業等でも学んだことがあると思います。
ドーパミンは、ギャンブル依存症に限らず人間なら誰しも頭の中に備わっている脳の神経伝達物質のことです。とはいっても、いまいちピンと来ないですよね。分かりやすく日常生活内で起こりえることで考えてみましょう。
好きな人がいるけど、どうやってアプローチしていこうか‥目の前の仕事を効率よくこなすにはどうすれば良いか?などと、色々な場所で「今まで経験したことを踏まえ、最適な方法は何か」を考えて行動に移そうとしますよね。
ここで関係している(活動している)のが、ドーパミンなのです。
ドーパミンが過剰分泌されてしまう
ドーパミンは、自分が経験したことからメリットを得ることができたら→その快楽を得るためにどう行動したらよいのか?を学習する物質です。
これがバランスよく分泌されていれば何も問題は無いのですが、ギャンブル依存症など何かにハマっている人は「ドーパミンが大量に」分泌されていることが実験でも明らかになっています。
最初は、ドーパミンは通常の量しか分泌されません。
しかし勝ったりなど刺激が加わることで過剰に分泌され、これにより『さらに刺激を求める=もう一度味わいたい』気持ちになってしまいます。
こうなると、脳はさらにドーパミンを分泌し続けて(快楽を)求め→負けてもギャンブルをやり続けて取り戻そうとしてしまう悪循環になるわけです。
βエンドルフィンの分泌も原因
ギャンブル依存症になる人は、ドーパミンだけが大量に分泌されているだけではありません。
何かにハマってしまう時は、ドーパミンの他にβエンドルフィンという物質の分泌が増えてしまうことも、ギャンブル依存症になってしまう大きな要因とされています。
もう立ち直りましたが、昔パチンコ中毒になっていた友人によりますと‥「パチンコ屋の入り口をくぐるだけで、ワクワクして幸せな気持ちになる」と言っていました。
この段階では台の前にいませんし、やってもないですよね。そのことを考えるだけで幸せを感じてしまうーこれはもう依存症というよりも“中毒”ですね。薬に侵されてしまっていると言って良いでしょう。
過剰分泌された結果‥
過剰に分泌されてしまうと、どんどんのめり込んでしまい悪循環になるのは分かりますね。
自制することができず、注意力や判断力も全く無いといって良い状態になります。のめり込むと必要なのはお金です。お金が無いとできません。
これにより、お金が足りなくなれば→使ってはいけない生活費にまで手を出す・借金してまで工面するなど衝動的な行動が増えてくるわけです。
通常の状態であれば決してやらないようなことを、神経伝達物質が過剰分泌されてしまっているせいで止められなくなります。
ドーパミン・βエンドルフィンの過剰分泌により、ギャンブルにさらにハマるため=ギャンブルでしか欲求が満たせなくなるんです。書いているだけで恐ろしくなってきました‥
記憶から消せない
脳には、ドーパミンやβエンドルフィンの過剰分泌が原因でギャンブルにハマってしまった“快感”はずっと記憶として残ります。
残ることでどういう影響があるのか?記憶は消したいと思っても自分で消せるわけではありません。
厄介なのが、このギャンブルで得た快感の記憶というものは長期で残ります。ゆえに忘れたいのに忘れられない状態なので、常に頭の中にはギャンブルのことしか考えれなくなります。
一種の脳障害
脳障害と聞くと、脳梗塞や脳出血など脳の病気を思い浮かべる人が多いかと思います。
しかし、このギャンブル依存症も一種の脳障害と言われています。ギャンブル依存症の人の脳を調べてみると、依存症でない人と比べても前頭葉の一部の機能が56%も弱まっていることが明らかになりました。
前頭葉は、目的を達成するために正しい判断をする場所です。この機能が弱まると、ドーパミンが過剰分泌されたように判断力が無くなってしまうというわけ。
普通の状態であれば、負けたら次の給料戯前で我慢しようとしますが、ギャンブル依存症の人はすぐに負けを取り戻そうとします。この差ですね。
脳の機能も低下する
また、ギャンブル依存症の人は脳の反応が鈍くなっています。
ある大学の研究チームによると、脳の島皮質(とうひしつ)と呼ばれる部分の活動が低下してしまうとのこと。
自分の気持ち・意思だけでは制御することが出来ず、どうにもならないと言われているのはこのためです。ある日突然ギャンブル依存症になるのではなく、ギャンブルを続けることで依存症の道に確実に進んでいるということを理解しましょう。本当に恐ろしいことですよ。
ギャンブル依存症の末路‥
ギャンブル依存症、脳の機能まで低下し正しい判断が不可能―自分ではどうすることもできない病です。
では、もしギャンブル依存症になってしまった場合その末路はどういったものだと思いますか?
外見では決して分からないこの病、あんなマジメな人が‥仕事ができる人が‥と、意外な人が陥っていることも決して不思議ではないわけです。
ギャンブルに出会わなければこんなことにはならなかったのにと、悲惨な結末を迎えることも少なくありません。というか、脅かすわけではないですが決して良い末路とは言えない現状がそこにはありました。分かりやすいように、いくつか事例を挙げて紹介します。
事例その①OLから風俗嬢へ‥
ある女性が気晴らしのためにふらりと立ち寄ったパチンコ屋。
初めてだったもののビギナーズラックが当たったのか、大当たり!そこでの快感が忘れられず、連日仕事帰りに通うように。
負けても「次は絶対勝つはず」と生活費を削ってまでハマるように。しかしそれでも足りないので借金も。これにより仕事を辞めざるを得なくなり、借金の返済もあるために風俗で働くように。まだ利息分も返せていない‥
事例その②借金が返せず会社のお金を横領
パチンコにハマり、借金してまでパチンコをやることに抵抗がなくなっていた。
この借金をパチンコで勝つことで返済しようとまで考えていた。しかし借り過ぎてどこからも借りれなくなった時に、目の前にあった会社のお金数百万。
パチンコでまた勝って返せばよいと思い横領‥バレたが親が返して告訴は免れたものの、懲戒免職に。
事例その③専業主婦がハマり、家庭崩壊
ごくごく普通の専業主婦、夫の稼ぎだけで何不自由なく暮らしていたが会話は無し。だんだんと寂しさを覚えた時に、目にしたパチンコ屋。
ストレス発散にと軽い気持ちで始めたところ、自分の居場所はここだと思い毎日パチンコ屋へ。預かっている生活費だけでは足りなくなり、住宅ローンも引き落とせなくなるほどに。
専業主婦に貸してくれる闇金にも手を出し、何千万という借金が残ってしまい夫とは離婚し家庭崩壊。
事例その④ギャンブルの事が離れず、うつ状態に
管理職になり、ストレスを抱える毎日。合間に行ったスロットで勝った快感が忘れられずに、毎日行った。スロットをしている間は、何もかも忘れることができるからだ。
小遣い制だったため資金が足りなくなり、妻に内緒でカードローンを組みまたスロットへ。気付けばローンは300万ほどにまで膨れ上がっていた。妻には言えぬまま、仕事中もこのお金をどう返していこうかばかり気になり‥しまいには病んでうつ状態になった。
ギャンブル依存症は治らない?
探してみて、見つけた事例を一部ピックアップして載せているだけですが、なんともまぁ悲惨な末路ばかりですね・・必ずこの結末になるわけではないと思いますが、ギャンブル依存症になって行きつく先は“悲惨である”という事実には間違いないでしょう。
では、ギャンブル依存症は治らない病気なのでしょうか?もし治すことができるならば、こういった悲惨な末路を迎えなくて済むようになりますね。
ギャンブル依存症は治せる!
この問いに関しての答えでいえば、「治ります。」ひと昔前は、ギャンブル依存症は決して治ることは無いと言われていました。
しかし、次に後述する内容のように治療するための病院や、色々な対策が出てきたため「治る」と言われるように。ですが、治ると言っても結局は本人の意思があって初めて、治るとされています。
自分ではどうしようもできない病気でもあるのですが、「絶対に治すんだ!」という強い意志が無ければ治るものも治りません。
いくら高度な病院・専門医・有効な対策があったとしても、本人の治したいという強い気持ちが無ければ、これら治すためのものは全く機能しなくなるのです。
ギャンブル依存症の治療方法
ギャンブル依存症は、治せると言いました。つまり、治療法があるということです。
「ギャンブル依存症を治したい」と強い気持ちを持っていることを前提として治療する時に、どのような治療法があるのかを確認してみましょう。
入院・入所する
病院やセンターなどに入院・入所することで、ギャンブルできる状態から隔離します。病院・センターでは必ず規則が存在しますから、そのルールに従い規則正しい生活をおこなってギャンブルを生活から離します。
ギャンブル依存症の原因として、近くにギャンブルできる環境があることを挙げました。
入院すれば勝手に外出はできませんから、強制的にでもギャンブル施設から離れることができますね。どのくらい入院するのかは、その人のギャンブル依存症の重症度により違ってくるのでここでは割愛します。
入院中の生活は、早朝の運動から始まり地域のボランティアへの参加やスポーツなど、身体を動かして過ごすことが多いようです。
退院後も定期的に通院する
無事に退院・退所できたとしても、完全にギャンブル依存症が治るというわけではありません。街じゅうには至るところにパチンコ屋がありますからね。
また再発しないために、「完全に依存症を脱した」と医師が判断するまでは定期的に通う必要があります。
また、この通院と並行して以下で記載するミーティングへの参加も非常に有効だと言われています。
当事者のグループミーティングに参加する
ギャンブル依存症を治療している患者が集まるミーティング:GA(ギャンブルアノニマス)ミーティングというものが存在します。
このミーティングは回復のためのプログラムと言われており、実体験を聞くことで自分がギャンブル依存症という病気であると再認識し、今まで自分がやってきたことに反省することができるようになります。
ギャンブルに対して正常な判断力を持つということですね。一度だけ参加するのではなく、週一回など定期的に参加し同じ悩みを共有しあうことでさらに完治への道が近付きます。
ギャンブル依存症、病院に行くべき?
ギャンブル依存症は、れっきとした病気です。治療も保険が適用されます。
自分で治すのが難しいので、入院・入所することで治療することが先ほどの話で分かりましたよね。ギャンブル依存症は、基本的には病院に行き治療した方が良いです。
自力で治すことはまず難しいからです。では、病院に行くといっても何科にかかれば良いのでしょうか。
専門外来がベスト!
大きな病院の中にある、依存症に対して専門的に治療しているところがベストでしょう。
しかし大きな病院は紹介状が無いと受診できないところも多いので、まず心療内科や精神科などを受診し、ギャンブル依存症を治したい旨を医師に告げましょう。
そして、専門外来を紹介してもらう形が一番理想的で且つ負担も少ないです。最寄りの地域の保健所などでも相談し紹介してもらえるので、一度問い合わせるのも良いと思います。
病院に行くタイミング
まず心療内科や精神科に行くといっても、どのタイミングで行けば良いのかーそれは、やはり本人が「このままではマズい、どうにかしたい・止めたい!」と思った時です。
病気と思っていない段階で周りが受診を勧めても拒まれるだけです。本人に治したいという気持ちが強くなければ治るものも治らないと言ったのは、これが理由です。
ギャンブル依存症の治療は、《まず自分が病気と認めてから始まる》という言葉があるくらいです。